
経緯・課題
タクシー業界においては、運転手の高齢化が進み、新規就業者が少なく、高齢の運転手が引退することで、慢性的な人手不足が課題となっています。不規則な勤務時間、収入の不安定さというイメージの先行により、若年層がタクシー運転手を職業として選択することを敬遠する動きが見られることも人手不足の原因と考えられます。
当該企業はタクシー事業を展開しており、「ドライバー業務」と「電話受付および運行管理業務」の求人を行っていましたが、特に後者の「電話受付業務」への応募がほとんど無く、求人が難航していました。この業務は通常、ドライバーが兼任していたため、ただでさえ十分に確保できていないドライバーがさらに不足し、予約を受けることができず断らざるを得ない状況や、場合により運行エリアの縮小を行う必要性が出てくるなど、業務や経営に支障が出ていることが課題でした。
支援内容
主に、下記のような支援をさせていただきました。
- 業務切り出し支援
業務内容や業務プロセスが標準化されていないことや、フルタイム勤務を前提としているゆえに業務引継ぎ等の申し送りのフローが明確ではないことが課題として挙げられました。その点を明確にすることで業務対応人数が増えた場合でも一定のサービスを提供できるようにすること、また管理体制として、早番遅番に分けたチーム体制で業務管理や情報共有をする体制をつくることをアドバイスしました。そのような体制を整えたうえで、フルタイム求人から短時間勤務求人への切り替えを提案しました。 - 求人票改善支援
求人票の訴求力を高めるため、短時間勤務のメリット(ライフスタイルに合わせて働ける、プライベートとの両立が可能、等)や「年齢・経験・免許不問」として、入社後に丁寧な指導でサポートを行うことで安心して働けることを強調し、より多くの求職者に関心を持ってもらえるよう改善を行いました。そのようにPRポイントを明確に記載して伝える点や、ゆくゆくは資格取得によってキャリアアップの可能性を伝える点など、求人票の内容や表現方法を具体的にアドバイスしました。 - 求人募集支援
これまで電話のみだった応募フローを見直し、専用の応募フォームを自社HPの採用情報に設置することを提案、助言しました。また、より多くの潜在的な求職者にアプローチする施策として、当該企業への通勤圏内を範囲としたMeta広告の活用を提案しました。
支援結果・効果
結果として、以下のような効果が得られました。
- 業務切り出し(短時間勤務求人の創出)
勤務形態: パートタイム
勤務時間・日数: 9:00〜14:00 または 13:00〜18:00 の時間帯で、1日4時間程度の勤務、週4日~5日勤務(週休二日制)
残業:なし。 定時勤務のため、プライベート時間も確保
勤務日:勤務時間帯や勤務日(曜日)も柔軟に選択可能なため、ライフスタイルに合わせた働き方が可能。(個別の労働契約で対応) - 求人応募促進
短時間勤務への切り替え、応募フローの見直し、Meta広告を活用した求人募集等、これまでほとんど無かった応募が徐々に増えてきており、特に子供の保育園や学校の送り迎えが必要でフルタイム勤務が難しい方や、フルタイム勤務での体力的な負担を懸念するシニア層の方からの応募や問い合わせが増加している。