
経緯・課題
製造業では、専門性の高い人材の採用が難しく、求人を出しても応募が集まりづらい傾向があります。また、現場の作業員や技術者の高齢化が進む中、若手人材の確保が課題となっているケースが多くみられます。
当該企業においても、特に設計部門や技術部門では属人化している業務が多く、その結果、一部の社員に業務が集中し、業務効率や生産性が低下するリスクが懸念されていました。さらに、創業間もないことから業務プロセスの標準化が進んでおらず、部門間で業務内容や繁忙度にばらつきがあり、特に設計部門や技術部門では業務負担が過多であること、属人化した業務が多く、新人社員や異動者が業務を引き継ぐ際に時間がかかること、業務内容の全体像が把握しづらいため、業務改善の余地が見えにくいこと、などが課題として挙げられました。
支援内容
主に、下記のような支援をさせていただきました。
- 社内研修の実施
全社員を対象に「業務棚卸しと業務切り出し研修」を希望制で実施し、15名が参加しました。研修では、主に以下を実施しました。
・自身の業務を振り返り、属人化している業務を明確化。
・他部署や外部人材でも対応可能な業務を切り出す方法を学ぶ。
・生産性向上のための時間管理術や優先順位付けを習得。 - 人事担当者への多様な人材活用・採用に関するアドバイス支援
ターゲット層の再定義
・社内で切り出すことができそうな業務内容を踏まえ、専門性が求められない業務を担当できる人材(例:短時間勤務を希望する主婦層、未経験でも成長意欲の高い若手)をターゲットに設定。
・高度な専門性が求められる設計部門の業務は、経験者を優先的に採用する求人を分けて作成。
求人化の際のアピールポイント強化
・「週3日勤務可」「短時間勤務OK」など、柔軟な勤務条件を検討すること。
・テレワークが可能であることを強みとして、育児中や介護中の方なども働きやすい環境であることをPRする。
・実際に柔軟な働き方を実現している社員のインタビュー記事を作成し、採用サイトに掲載する。
・中小企業ならではの柔軟さや社員同士の距離感の近さをアピールする。
支援結果・効果
結果的に、以下の成果を得られました。
- 社内の生産性向上の気運醸成
研修を通じて社員の生産性向上への意識向上のきっかけ、業務整理の実践的な方法を提供する機会となりました。研修参加者より「自身の業務を見直すきっかけになった」「業務棚卸しの実践的な方法が知れて良かった」「他部署の社員と一緒に生産性について考える機会になった」という声が寄せられました。 - 業務マニュアル作成に向けた協議を開始
研修を通して改めて、業務の属人化、マニュアルが無いことが課題として浮き彫りになり、まずは新規人材採用に向けて業務マニュアル作成に関して管理部を中心として協議を開始。具体的には、各部門よりメンバーを招集し業務マニュアル作成プロジェクトの立ち上げや、テンプレートを作成し業務内容の記載方法の統一化などを検討しています。